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起業家・森康次・ナビオコンピュータ株式会社代表取締役

企業は永続と見つけたり 〜情報処理産業の水先案内人〜

6. 精神教育と経営合言葉

 昭和60年、森は代表取締役社長に就任した。経営トップになると、それまで温めていた新しい施策を次々に実施に移した。まず、企業のイメージアップを図るためCI(CORPORATE IDENTITY)を導入すると、社名や社章、ロゴを社内公募して、社名をナビオコンピュータ株式会社に変更。翌年には、かねてより思案していた東京進出を決意した。
 「東京での成功がなければ、真の情報処理サービス業として大成することはできない」。
 森にとって、東京進出はどうしても避けて通れない大きなテーマだった。

 昭和61年、満を持して渋谷区代官山に東京支店を開設。土地勘のない東京での事業展開は、従業員や管理者の人材集め一つとっても並々ならぬ苦労があったが、数度のテコ入れを経て苦節10年の後にやっと軌道に乗せた。また、平成3年には東京支店に次いで福岡支店を開設するに至った。

 こうした企業イメージの刷新と積極策により、ナビオコンピュータは売上高12億円、従業員380人の規模に成長。中堅企業の仲間入りを果たす。この頃になると、森は社員の精神教育に力を入れるようになる。会社が大きくなり、自分の目が届かなくなったいまこそ、社員一人ひとりに明確な自らの目標を持って欲しいと考えたのだ。その精神教育のテーマは森が自分の生き方の基本として考えてきた「人間はなぜ一生懸命勉強して、働き、生きるのか」という「なぜ」の部分を考え、答えを出すことであり、この答えを社員一人ひとりに自分で考えて見つけてもらうことである。
 だからこそ森は、社員研修やマナー研修など、社員と接するたびにこう言った。
  「自分の人生の道を1人で迷わないように進むため、自分の心の旅路の地図を持ちなさい。そして、誰もが正しいと思う、最も人間らしい生き方をしなさい」。

 心の旅路の地図を持っていれば、目的意識が明確になり、仕事の能率も全く違ってくる。森はある文書にこう表現している。
 「自分の心が真人間国神有市目的明確町努力百番地にあるのか、人面獣心国神無市行方不明町なまけ百番地にあるのか、常に自分の有限の命と無限の前頭葉の頭脳で神を作り出して地図を描くことが自分の人生に迷わない方法である」。
 そうした他社とは異なる精神教育により在籍社員の一人ひとりがその答えを自ら求め、人間性や技能の向上、成長・発展に努力しつづけた結果が、ナビオコンピュータの創業以来の成長・発展を支えてきた最も大きな要因だった。
東京支店

  平成元年、創業20周年を迎えたナビオコンピュータは空前のバブル景気から平成不況へと激動する時代の入り口に立っていた。この節目に森は従業員とのコミュニケーションをより密接にするため、会社の方向性をよりイメージしやすい「経営合言葉」を毎年、発表するようになる。この経営合言葉は社員の心を一つに束ねるうえで、より大きな効果を発揮した。例えば、こんな具合である。
平成元年の合言葉は「守成の中の創業」。これまでの20年間の成長と発展を守りながら、さらなる成長を追い求めるという意味が込められている。バブル景気に突入した平成2年にはびっくりするほど売上げを上げ、びっくりするほど賞与を出すという「びっくり経営」。バブル景気の頂点に達した平成3年には「善哉(ぜんざい)経営」とし、会社のめざすべき方向を分かりやすく表記した。

 森の発案によって始められたこのユニークな「合言葉」経営は、従業員の心をひとつにする重要な役割を果たした。バブル経済の崩壊後、情報処理サービス業は業界始まって以来の深刻な打撃を受け、ナビオコンピュータも売上高が平成3年の16億5000万円をピークに12.5%もダウン。従業員は経営のスリム化を図ったことで、約50人減となった。さらに、平成5年には売上高、従業員数ともに25%の大幅ダウンを余儀なくされた。こうした厳しい経営環境の中で、幹部社員以下の従業員全員が底力を発揮しなければならないという意味を込め、平成4年には「力餅経営」、平成5年にはいちから経営土壌を耕す努力をする時と見て「耕し経営」という合言葉を発した。

 創業以来の危機に直面した森は、そうやって社員の心をひとつに束ね、様々な建て直し、経営戦略の転換を図ったのだった。

 
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