ビジネス・リンキング 〜塾経営から拓く総合教育の道〜
12. 教育がキャンバス
KEC枚方本部校の6階にある理事長室。本棚に整理されたファイルや本、ビデオのたぐいがぎっしりと並ぶこの部屋には、現在、木村を頼って毎月十数人ほどの人が訪れる。訪問客は家庭問題に悩む人や会社運営の相談をしにくる経営者、果ては政治家まで様々。おおよそビジネスに直結しそうにないこれらの相談事に、木村はどんなに忙しくてもつぶさに耳を傾ける。やがて、愛用する方眼紙を取り出すと、例のごとくデッサンでも描くようにチャートを作りながら相談者の悩みを紐解いていく。相談者以上に真剣に問題解決に取り組む木村は、最後に一言。「大丈夫。一緒に走りましょう」と言って相談者を送り出す…。
一切の損得勘定をしない木村の姿は、半ばカウンセラーのごとくである。「人の悩みを取り除いてあげて、帰る時には元気になってもらう。“抜苦与楽”。それが私の信条なんです」。
一切の損得勘定をしない木村の姿は、半ばカウンセラーのごとくである。「人の悩みを取り除いてあげて、帰る時には元気になってもらう。“抜苦与楽”。それが私の信条なんです」。木村はそう言う。そうやってできた人脈がまた自然な形で次のビジネスのきっかけにもなると言うのだ。
最近ではある企業から、老人ホームのお年寄りに触れ合い教育をしてもらえる人材はいないかと相談された。当面はボランティアとしての派遣を決めたが、そのうちニーズが高まっていけばこれも立派な「シルバー教育」という新たな事業になるはずだ。
「ビジネスというのは、遠心的に人に尽くしていれば、自然にあとからついてくるもの」。
そう言う木村はきたる知価社会をにらんで、また新たなビジネススクールや教育研究所の創設も計画している。
塾経営からスタートした木村の“教育”への挑戦。それは、教育というキャンバスに自らの情熱とアイデアを描き続ける終わりのない挑戦である。
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