3. 企業家は冒険家
「若い頃はちょっと生意気で、ええかっこしいやった」というのが宮脇の自己分析。実際、20代の頃は目立ってカッコいいプリンス・スカイラインに乗っていたし、20代後半には水上スキーを始めるきっかけとなったモーターボートを購入した。あまり知られていないが、鋼管事業が軌道に乗った頃には本格的なフランス料理店を経営していたこともある。目立ちたがり屋で、何でも一流をめざすのが宮脇の性分である。
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宮脇鋼管の社長室 |
そんな宮脇の部屋は鉄屋の社長室とは見まがうほど豪奢な雰囲気である。落ち着いた暖色の照明に、木目とグレー、黒を基調としたインテリア。応接用のテーブルの下にはペルシャ絨毯が敷かれ、バックミュージックに静かなジャズの音色が流れる。活気ある隣の営業フロアとは、まるで別世界である。
「どんな時でも落ち着けるような部屋にしてあるんです。自宅もマンションの最上階で木を使った部屋にしています」。
そう言う宮脇は商売でも趣味の水上スキーでも心を静めることに重きを置く。常日頃から心がけている心身統一法では体の力を抜き、臍下の一点に心を静めると、本来ひとつである心と体が一体となる。すると、自ずと「気」が出始めて、今までできなかったようなことができるようになる、という。
また、宮脇の人生哲学からは時に聖書の言葉や、強い影響を受けたユング(精神病理学者)の思想などももれる。
宮脇は言う。
「企業家は冒険家のようなもの。危険なリスクをどう乗り越えるか。乗り越えるためにどのように工夫するかが成功の成否を決める」。 |