出会いを創造する　〜結婚情報サービスが拓く結婚新時代〜

オーエムエムジー創業物語（大内豊春・�潟Iーエムエムジー創業者）

1. 創業前夜―２つの出会い

　人は、誰もが幸せを求めて生きている。なかでも結婚や家庭づくりは、人生にとって最も大切な幸せの一つである。しかし、誰もがその幸せな出会いを享受できるわけではない。“結婚”とは、いったい何だろうか？

　時は、昭和 50 年前後。オイルショックを経て、日本の高度経済成長がピークを迎えて減速期に入っていた頃、東京の片隅で“結婚”について、ひとり思案する者がいた。

　男の名は、大内豊春。一部上場企業の日立マクセル取締役、九州日立マクセルの代表取締役も務めたエリートビジネスマン。定年後、土木機械を輸出する小さな貿易会社を起業していたが、人事・労務畑を歩いたサラリーマン時代、「この会社にいる限り、女性と知り合う機会がないので転職したい」と言って、退社していった多くの若い社員の後姿が、今も脳裏にやきついていた。

日立マクセル時代の大内豊春

　戦後の復興を担った財閥系企業では、従業員の福利厚生として冠婚葬祭の面倒をみるのが通例だった。このため、大内自身、若い社員たちの悩みを聞きながら四十数組の仲人を経験したこともあった。だが、社員として「これから」というときに“結婚”がネックになって退社していく例は後を絶たず、「幸せな結婚にめぐり合わなければ、幸せな人生も送れない」との思いを強くしていたのだった。

　「若い人の結婚や家庭づくりを、手助けするビジネスがあってもいいのではないか」。

　大内は、結婚ビジネスの可能性を見極めるため、「配偶者選択システム研究所」を立ち上げていた。小さなビルの一室で、結婚に関する古文書や絵画の収集を行いながら、地道に日本の婚姻史を分析する毎日だった。

　そんな大内に、２つの出会いが訪れる。

　一つは、旧西ドイツの結婚情報サービス業大手・アルトマン社との出会いである。日立マクセル時代の先輩から教えてもらった同社の結婚情報サービスは、大内にとって衝撃だった。配偶者選びに、心理学や医学などの科学的手法と男女双方のデータを擦り合わせるコンピューターマッチングという手法を、世界で初めて取り入れていたのだ。

　しかも幸いなことに、同社は日本進出のためのマーケティングも始めており、その拠点が大内の事務所から 30 �bも離れていない目と鼻の先。興味を示して、接触を図ってきたのはアルトマン社の方だった。大内は、同社とコンサルティング契約を結び、婚姻・離婚の人口動態を研究したり、広告掲載の交渉、市場調査、カウンセラーの教育マニュアル作成などに励むようになる。

　いまひとつは、大阪・梅田で医院を開業しながら、「大阪結婚医学ガイダンス」を開いていた医師・前林尚との出会いである。彼も大内と同様、旧来のお見合い結婚とは違う、新しい結婚仲介のあり方を模索していた。結婚に並々ならぬ興味を示していた２人は、すぐに意気投合した。