出会いを創造する 〜結婚情報サービスが拓く結婚新時代〜
5. 2%の壁
90 年代以降、 OMMG の業績が頭打ちした背景には、 出版不況が始まり、紙媒体による広告効果が弱まったうえ、同社の支社の開設ラッシュが落ち着き始めたことが大きい。この結果、広告効率が悪化して、新規の顧客開拓にかげりが見え始めていたのだ。
また、対象となる 20 〜 34 歳の人口に対して、結婚情報サービスの利用者が少ないことも決定的だった。結婚相手を探す男女に、出会いの場を提供する結婚情報サービス業を利用している人は、対象人口のわずか2%に過ぎなかったのだ。このことは、 OMMG の売上高が頭打ちした 90 年代以降の伸び悩みの最大の原因だった。この2%の壁は、世紀をまたいでも、なお結婚情報サービス業の分厚い壁として立ちはだかっている。
さらに、戦略上の問題もあった。
広告段階で、「結婚」を強くアピールすればするほど、顧客の範囲は結婚したいと切実に感じている人に絞られる。また、一人ひとりに合った結婚相手を紹介できることをアピールする営業スタイルも、仮に会員期間中に結婚できなければ、錯誤契約になる可能性もあるのだ。実際、会員が6万人を超える状況に対してアドバイザーは全国でも 300 余人。1人平均 200 人をすべてに対し、定期的にお見合いをセットしていくことは現実には不可能に近かった。
数々の問題点が浮かび上がる中、 OMMG は企業として提供可能なサービス内容を積極的にディスクローズ(情報開示)するとともに、サービス業として顧客第一主義に立つ基本方針を掲げる。そして、邦春は、自らメディアに登場して、著名人らとの対談を積極的に展開することで、さらに社外の意見も取り入れていこうとする。
だが、そこでも外部から指摘された意見は、予想以上に厳しいものだった。
結婚情報サービス業は、「ある種のいかがわしさを感じる」という意見はもちろん、「 OMMG と聞いても何も連想しない」「広告を見ても、まったく意味が伝わってこない」といった、これまでの OMMG の在り方を根底から覆す意見もあった。
邦春は、こうした数々の問題をクリアすることを迫られていた。 |