出会いを創造する 〜結婚情報サービスが拓く結婚新時代〜
8. 突破口
大内は、ここ2〜3年の結婚市場に大きな変化を感じている。
なかでも特徴的なのが、インターネットの急激なブロードバンド化を背景とした、「出会い系サイト」の乱立である。会員登録が無料であるこの種のサイトには、立ち上げと同時に、多ければ 50 万人が一気に集まることもある。年齢構成もさまざまで、登録者の中には 30 代の独身男女も多い。
同じ出会いサポートを提供する「出会い系サイト」の乱立は、一見すると、結婚情報サービス業のオーエムエムジーにとって不利な要素に見える。だが、出会いを求める男女が、出会いのサポートサービスを気軽に利用するようになることは、結婚の出会いの場を提供するオーエムエムジーの潜在顧客層が広がる、ということを意味する。
大内は、言う。
「晩婚化・未婚化で結婚する人が少なくなっていると言っても、結婚したい人が減ったわけではない。むしろ、今の若い人の結婚願望は昔より強い。自分の力だけで結婚相手を見つけることが難しいということも十分に認識している。だからこそ、結婚情報サービス業が社会において果たす役割は、ますます高まっている」。
そうした現状を踏まえ、邦春は今、オーネットのシステムやサービスを積極的にディスクローズして、乱立する他のサイトなどとの差別化を図ろうとしている。
最も大きな差別化と成りえるのは、入会時に市町村が発行する公的独身証明や卒業証明、在職証明などの確認を行うことによる「安全性」と、詳細な希望条件に関する相互マッチングシステムによる「効率性」である。
また、年間 2700 件に及ぶイベントや会員情報誌「イントロ G 」を通じたデータマッチング以外のサービスで、会員同士が触れ合い、さまざまなことを体験し、学び、成長することで、幸せな出会いを見つけることも、会員にとっては大きなメリットとなる。
さらには、パーティーや旅行などの出会いの場の提供だけでなく、面接やコミュニケーション能力、さらには服装センスの向上のためのセミナーなども開催している。
「今は、結婚相手をみつけるのに、コミュニケーション能力とプレゼンテーション能力が必要ですから、そのような能力のアップにプラスとなるようなメニューも提供しています。また、現在の結婚難に関する各種情報も提供し、マッチングの際にも、これまでのように希望条件をお客様に決めてもらうだけでなく、アドバイスを心がけています」。
現在、会員は年間 4000 人以上が成婚。これまでに累計6万 5000 人以上がオーネットのシステムを使って結婚している。また、入会したことで、自分が他人からどう見られているかなど、自分を見つめ直すきっかけになったり、コミュニケーション能力を高めたりすることで結婚市場価値が高まっているケースも多い。このため会員以外と結婚する会員も年間約 4000 人に達し、 1999 年から 2004 年までに 13 万 3000 人が結婚している。
「今はまだ我々のサービスに対して、結婚自体をお金で買うという間違ったイメージがある。だが、データの信憑性や安全性、それにサポート体制やアドバイスの大切さなど、よりふさわしい結婚相手を探すためのツールとして我々のサービスが理解され、『高いものは良いもの』ということが正しく認知されるようになれば、これからは結婚ではなく、情報とアドバイスを買うという正しい理解を得られるようになる。そうなった時、結婚情報サービス業の懸案だった2%の壁は、一気に崩れるはずです」。 |