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起業家・森康次・ナビオコンピュータ株式会社代表取締役

企業は永続と見つけたり 〜情報処理産業の水先案内人〜

8. 企業経営1000年の哲理

ナビオ本社ビル

 2003年、ナビオコンピュータは本社ビル内にプログラマーを養成する人材開発センター「ナビオ・未来塾」を開設した。これは、大型汎用機の言語であるCOBOLやJAVAを教える新しい教育ビジネスで、現在、話題となりつつある全国の市町村合併や金融業界の再編に伴う企業統合などを視野に入れ、大型汎用機のシステム転換を手掛けられる人材を育成するのが目的である。生徒は一定の条件のもと自治体が運営するハローワークから紹介を受け、3カ月で30人、年間90人の生徒を指導。そのうち約半数の人材を同社社員として採用し、大阪の深刻な失業問題の解消に貢献すると同時にスキルの高いソフト開発要員の需要に対応するのが狙いだ。養成した生徒を企業に売り込むため、女性の営業マン部隊を結成するアイデアも導入した。
 このソフト部門の強化を核として、森は平成30年までに現在の3倍となる売上高100億円、従業員2000人の規模に拡大することをめざしている。数カ月先でさえ見通しにくい昨今の経済情勢の中で遠大な計画のように見えるが、森はさらに遠い先を見据えている。それが今、森が取り組んでいる「光年の計画」である。
 光年の計画とは何か?この質問に森はこう答えている。
 「未来永劫、ナビオコンピュータが存続するように会社に普遍性と絶対律を浸透させるのが光年の計画。その企業哲学を社員に植えつけるのが今の私の使命なんです」。
 森は、4つのポイントを挙げる。
(1) 社員一人ひとりが自らの人間性を向上させ、仕事を通じて社会貢献できる社員中心の会社であること。
(2) 常に資本と経営が分離した会社であること。
(3) 永遠に存続するための精神を持った会社であること。
(4) 社是やモットーを基本に組織で動く会社であること。

 社員一人ひとりが自らの生き方を理解したうえで誰もが正しいと思えることを実践できる会社。そして、この主体性の高い社員が組織力を最高に発揮して進める会社。それが森の考える理想の会社像だという。そうした社員で構成される会社は未来永劫続くことができる。また、後継者も人間的に最高の至上主義を持ち、仕事を通じて最も自分を磨いている人間がリレーバトン方式で交替していく体制を整えている。
 森は自信をもってこう言う。
 「1000年後の30世紀まで存続する会社をつくるつもりなんです」。
深い人間主義に裏付けられた経営哲学と卓越した経営管理能力を持つ森は、企業の理想を追い求める永遠の企業家である。

 
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